サンクコスト効果(その1)

サンクコスト効果とは・・・?

サンクコスト効果とは、英語の『Sank(沈む)』+『Cost(費用)』を合わせた心理学用語です。
サンクコスト効果は『埋没効果』や『コンドル効果』とも呼ばれています。
何かの為に『先にお金や時間を使った』のだから、『今やめたら損をしてしまう』と思ってしまうという行動心理です。

どちらにもとれる効果がある

サンクコスト効果は、良いように考えれば『何かを諦めずに努力を続ける効果』とも取れますが、悪く考えれば『止めるにやめられない状況に陥っている』とも取れます。

どんな場合に効果があるの?

サンクコスト効果は『仕事』や『恋愛』や『趣味』にも当てはまります。
サンクコスト効果についての知識があっても、
「損をしたくない」
「努力を無駄にしたくない」
「もったいない」
「損を取り返したい」
「いまさら後戻りできない」
等の際に働く心理なので分かっていても、なかなか自分の意思で抑える事は難しいです。

新商品の開発

企業が費用や時間をかけて商品開発をした場合に、例え自社の努力ではどうにもならないような問題が発生しても、「今更、販売を止める訳にはいかない。」という決定を下してしまう場合等も、サンクコスト効果の影響です。

投資(不動産・株・仮想通貨・FXなど)

上ると思って株を買ったが、予想に反して株価が下がっても『損切り(損してでも売却すること)』することが出来ずに、どんどん株価が下がって『塩浸け状態』になってしまうのもサンクコスト効果です。

権利(国家資格・許認可など)

例えば、国家資格を取ろうと思って受験したが不合格だった場合に、合格するまで受験を続けようとして努力を続けてしまう事があります。一見、良い事のように思ってしまいますが、合格する事に固執し過ぎてしまうと、本来の目的とは違う方向に進んでしまう可能性も出てきてしまいます。
仮に努力が報われ資格を取得出来たとしても、折角何年もかけて取得した資格なので、その資格に固執してしまい他のビジネスチャンスに目を向ける事が出来ないようになってしまいます。(実際、難易度の高い国家資格を取得したが、既に業界は飽和状態で仕事が無いという話を伺います)

新店舗のオープン

例えばレストランをオープンしたが、人材が集まらなかったり予想を遥かに下回る売上だったにも関わらず、止めるに止められない経営者をよく見かけます。
最初に投資した金額や労力が惜しくて、元が取れそうも無くても止められないのです。
更に危険なのは、自分が回りの人に対して「絶対に成功する」とか「成功するまで諦めない」と公言してしまっていると、引くに引けない状況になってしまいます。

合理的な判断を鈍らせる

ギャンブル全般

サンクコスト効果はギャンブルにも当てはまります。
例えば、最初は1万円だけ使ってそれが無くなったら止めようと思っていても、実際に1万円を使ってしまったら失ったお金を取り返そうとして、止められなくなってしまうことがあります。

スマホの課金制のゲーム

スマホの課金制ゲームはサンクコスト効果を使ったサービスが盛り込まれています。
例えば、ゲームを続けるためには定期的にアイテムを手に入れなければいけません。その際にお金が必要になります。(お金を使わないとゲーム続行が不可能か、非常に時間がかかる場合が多い)本来は課金が必要な場面でお金を使いたくなければゲームを止めれば良いのですが、実際は『それまでに費やした時間』を無駄にしたくないので、課金してゲームを続けてしまいます。
その後も既にお金を使ってしまっているので、更に課金してゲームを続けてしまいます。

企業の販売戦略

サンクコスト効果は非常に強い効果をもたらすので、企業の販売や営業の戦略にも数多く取り入れられています。
自社の商品販売やサービスの普及を考える際は、サンクコスト効果を高率的に活用してみて下さい。